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「技術的萌えポイントが多い」エンジニアとして、リーダーとして、実現性を考え続ける【MY CAREER STORY】

「誰もが使える世界規模のAIプラットフォーム」の実現を目指すAI inside。提供中のサービスの一つに「だれでも、かんたん、高精度」に使え、市場シェアNo.1を獲得している、学習済みのAI-OCRエンジンであらゆる書類をデジタルデータ化できる「DX Suite」があります。今回は、「DX Suite」の開発を担うユニットリーダー・竹井健司にインタビュー。

地元の福岡県から単身上京、さまざまな機会を経て、エンジニアリングの道へたどり着きました。開発パートナーとしてAI inside と出会い、社員となり、現在は要職を務めています。知識は「広く深く」と欲張り、さらなる知的好奇心を求めていく姿には、AI inside の多角的なチャレンジを支える、エンジニアマネジメントへのスタンスが垣間見えました。

竹井健司(Kenji Takei)Leader of DX Suite Unit
福岡県出身。ウェブサイト制作等でフロントエンド、バックエンドエンジニア両方経験した後、AI inside の「技術的萌えポイント」に惹かれ、2021年5月入社。主に「DX Suite」のプロダクト開発に関わる。趣味はアニメ鑑賞で、特にシャフト作品が好き。好きな言葉は「ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん」(アドロック・サーストン)。

※内容や肩書・所属は記事公開当時のものです

バイト代を握りしめて上京。財布を盗まれ、人生が動いた

ー エンジニアに興味を持ち始めたきっかけは何かありましたか?

実は、最初からエンジニアに興味があったわけではなく、小学生や中学生の頃はグラフィックデザイナーに憧れていました。高校を卒業してから、フリーターになって地元のカメラ屋でアルバイトをしていた頃に、「これから何をしようかな」と思ったときに、小学生の頃の夢が蘇ってきて。

それで、プロダクトデザインよりはウェブデザインのほうが、僕にとってはカジュアルで入りやすい印象があって、勉強を始めたんです。職業訓練校にも通っていましたね。そのときにコーディングも学んだのですが、成果を公開するのにサーバーをレンタルする必要が出てきて、ただ「お金がもったいないなぁ」と。

無料のサーバーを見てみたら、広告が表示されたりするのが、あまり好きじゃなくて。それで、まだ英語しか対応していなかった頃のAWSが、最小のインスタンスなら1年は無料で使えると知って、サーバー構築の勉強もしたんですね。その頃から、バックエンドのエンジニアリングにも惹かれていきました。

ー そうしてエンジニアとしての人生が始まったんですね。

いや、そうでもなくて(笑)。僕は地元が福岡県なんですけど、音楽やファッション、アートが好きだったから、「もっとそういうのに触れたい!」とバイトの給料を握りしめて、勢いで上京したんです。コンビニの深夜勤務でバイトを始めて、昼間は美術館やライブハウスを巡ったり、バイトが休みの時はネカフェやシャッターの降りた店先に寝泊まりしたり。

刺激的な毎日でしたけど、1ヶ月ほど経った頃にバス停のベンチで眠っていたら、全財産の入った財布を盗まれてしまって……給料日は遠いし、お金を借りられるような友人もいなかったですから、数日悩んで実家に帰ろうと決めたんです。それで、バイト先のオーナーに経緯を打ち明けると「家を借りるお金を貸してやる。給料天引きで返せばいい」って。

ー オーナー、すごい!

5年ほどコンビニで働きつつ、あるご縁で派遣社員として潜り込んで、1年後に正社員雇用してもらったのが当時10人ほどのIT会社。まだ僕はデザイナーとエンジニアのどちらで進んでいくのか迷っていたのですが、デザイナーの現場を目の当たりにして「僕には難しそうだ」と思ったんです。

ー それは、どういったところが?

僕から見て、デザインは「自分を信じて作る」というブレない芯が必要になってきます。ただ、僕の性格は「自分の判断も疑いながら形にする」といったもので。

ー ある正しさにたどり着くために進むのか、柔軟性をもって作り続けていくのか、みたいな違いを感じますね。

まぁ、カッコよく言い過ぎかもしれませんけど(笑)。あとは先輩エンジニアが仕事のデキる人だったのもあって、僕も学んでエンジニアでいこうと決めました。Webサイト制作がメインでしたが、音響機器のWebアプリのフロントエンド開発や、Raspberry Piを使ったオフィス受付システム構築といった、IoTの走りみたいなプロジェクトも経験しました。

開発チームのリーダーとしてマネジメントをする立場にもなったのですが、次第に「もっと多くの人と、大きな組織で仕事をしてみたい」「これまでにない案件も経験してみたい」「フロントだけでなくバックエンドの開発も携わりたい」と、いろんな気持ちが湧いてくるようになり、別の会社に転じたいと思って、まずはその会社を辞めることにしました。

知識は「広く深く」で欲張っていきたい

ー 「まずは」ということは、転職先を決める前に辞めてしまったんですか。

「正社員に応募して入社した」という社会人経験がなかったから、どうやってなるのかもわからず……いや、何も考えてなかったのが正解でしょうね(笑)。それで気づけば、アニメのサブスクサービスに傾倒しちゃって、失業保険や貯金が尽きかけるまで過ごしたり……。

いよいよだ、となったときに、当時仲の良かったパートナーのエンジニアや、当時の同僚に仕事をもらって食いつないでいて、その頃に前職の会社で業務委託として携わるようになり、そのまま社員になったんです。エンジニアだけじゃなくて、黒い画面を格好良くする方法を模索したり、一人で動物園に行って自撮りしたりと、なんかいろいろやってましたね。

本業としては、入社後2年間はフロントエンドエンジニアとしてWebサイト制作、その後の2年間はバックエンドエンジニアとしてWebサービスのシステム開発などを担当しました。途中でバックエンドへ変わったのは、元から興味もあるのですが、僕にとってはロジックやアルゴリズムを考えるのが、まるでパズルを解くような面白さがあったからなんです。

もちろん、それぞれで最終的には「より良いユーザー体験」につながってきますが、フロントエンド的な「体験」を求めるよりも、僕はもっとプログラミングに寄った部分へ思考のリソースを充てていきたい感覚があって。

ー 「自分の判断も疑いながら形にする」という性格もありますし、自分自身で考えを深めていきたいタイプといえるんでしょうか。

そうですね。フロントエンドもやりがいはあるし楽しいけれど、僕はバックエンドも手掛けたいし、さらには関連技術にも手を伸ばしたい。興味の範囲を広げていき、そこで勉強して、知識も「広く深く」と欲張っていきたいところがあって。

ー そうなるとエンジニアリング全般に興味の範囲も広がりますし、後にAI inside でリーダーを務めていく資質にもつながっていくように思います。

マネジメントの楽しさを知った意味では、当時ハマっていた地下アイドルの現場も良い経験でした。推しの生誕イベントをファンの人たちでやるとき、企画のタスク管理や進捗管理をしたんです。愛が深くて我の強いオタクたちをまとめて、メッセージカードを集めたり、フラワースタンドを出したり、写真集をつくったり。大変でしたけど、達成感はありましたよ。

AI inside は技術も、人も、知的欲求を満たせる環境

ー そこからAI inside に転じたのは、どういうきっかけがあったんでしょう?

前職時代に、バックエンドの知見もあるフロントエンドエンジニアとして、AI inside の開発案件にパートナーとしてアサインされたのが最初です。関わるうちに「僕も自社プロダクトを他部署と深く関わりながら成長させていきたい」と考え始めて、転職のことが頭に浮かんできました。

ただ、前職を辞めるなら案件からも外れないといけないですから、その意向をAI inside の方たちに伝えると、むしろ「一緒にやろう」とお誘いをいただいて。ただ、いわゆる引き抜きに近いですし、関係性も考えるとすぐには返事ができず、当時の上司に相談することにしました。そうしたら、「やりたいことがあるところへ行くのがいいんじゃないか。僕らも数年後に戻ってきたくなるような環境を作って待ってるから」って。

ー 上司さん、すごい!

AI inside が携わるAI領域は、僕が「広く深く」で言ったところの関連技術の範囲が広いですし、扱える技術も多い。しかもそれらを基本的にインフラ、アプリ、機械学習など全てを内製で手掛け、ソフトウエアもハードウエアも作っている。言わば「AI inside は技術的な萌えポイントが多い会社」で、ここならいろんなことを知れるなぁ、と思えたんです。

その当時やりとりしていたのは、エンジニアの野田さん岩崎さんで、いまも一緒に働いていますが、彼らは急に宇宙の話を始めたり、機械学習の突っ込んだことを語ってくれたりと飽きなくて。技術としても、人としても、知的欲求を満たせる環境なんですよね。

ー AI系のスタートアップは増えてきましたが、ソフトウエアだけではなくハードウエアまで作っているところとなると、確かに珍しいです。

そうそう、入社前にAI inside の社内イベント「AI inside Talk」に参加したら、CEOの渡久地さんが「自宅の玄関にAI inside Cube mini が置いてあったらカッコよくない?」みたいなことを言っていて、僕は「いいじゃん!」って感じたんです(笑)。

単純に僕もハードウエアが好きですし、こういうものが玄関に置かれるようになったら、確かにすごいこと。何より渡久地さんが自社プロダクトに対してよほどの気持ちがないと、そういうことはなかなか言えないでしょう。このCEOの元であれば、自社プロダクトを大切にしながら仕事ができるのではないか、と思えたんです。

リーダーだけれど、「マネージャー」でもありたい

ー そしてジョインしたAI inside、現在はどういった仕事をしていますか?

はじめは前職時代にも関わっていた「DX Suite」の開発から始まりました。中でも「全文読取」と呼ばれる機能では、企画段階から機能実装、リリースまでの一連を見届けました。その時は純粋に「これまでになかった新しい価値提供ができた」という大きな達成感があったのを覚えています。

開発が進むにつれて4人ほどのチームになり、前任者が育休に入るタイミングで「DX Suite を任せたい」と話をもらって。「これはチャンスだ」と引き受け、リーダーの役割を務めるようになりました。

「DX Suite をさらに成長させるぞ!」と意気込んで早々に、開発方針の大きな転換があり、複数の機能を一つに統合することが決まって(笑)。ドラスティックな決定でした。ただ、統合は確かに選択の一つとしては必要なことだと思えたので、今はそれに向けてPMとして動いているのが、まさに進行中のプロジェクトですね。

ー リーダーという役割に、やりがいを感じますか?

入社時からマネジメント領域に携わりたい希望を伝えていました。自社プロダクトの成長を最も見られる部分だと思うことも大きいですが、自分より「デキるエンジニア」は正直、世の中にたくさんいます。彼らをマネジメントするには各領域の知識を「広く深く」把握していく必要もありますから、自分の進みたい方向にも合っていると考えたからです。

自分よりデキる人が近くにいると、僕は嬉しいんですよ。だって、そんな人たちがすごいことを教えてくれるわけじゃないですか。知的欲求の塊になった気分です(笑)。

リーダーという肩書きはあるけれど、僕の想いとしては「マネージャー」になりたいんです。自分が引っ張っていく存在というよりは、各人が持っている実力やスキルを発揮してもらえるようにサポートしたいですね。それに乗じて、常に自分の外側にある事柄に触れて、僕も知識を広げていけるのが面白いところです。もちろん、自分なりの指針を持って、リーダーとしての務めも果たさなければとは思っています。

エンジニアは「マネジメント」と「スペシャリスト」に分かれる、とよく言われますし、マネジメントに進むとプログラミングができなくなるとも聞きますよね。僕は正直、マネジメントができると、むしろプログラミングもできるようになると考えていて。

マネジメントはシステムやプロダクト全体を俯瞰して見られる人です。その全体感を得られていれば、その分だけ「どんなコードを書かなければならないか」というプログラミングがしやすい状態になれる。そして、その実装方法や手順においてはスペシャリストの腕の見せ所がある。

その意味では、マネジメントだから技術的なブランクは決して起きるわけではないですし、エンジニアのキャリアとしても良い選択だと考えています。AI inside は携わる領域やプロダクトも広いですから、自ら手を挙げて望めばそちらに進める機会を与えてくれる環境はありますね。

一見は無茶でも、「やれる手段はきっとある」と考え続ける

ー AI inside でもエンジニアは積極募集中ですが、竹井さんが一緒に働きたいのは、どういった人ですか?

まず「ユーザファーストな思考」が重要です。技術力はもちろんのこと、ユーザ体験を真っ先に考えてくれるエンジニアがいいですね。AI inside のプロダクトは、まだまだ世に前例の少ないもの、ユースケースのないものばかりですから、何より使ってもらえなければ価値を発揮できません。作るもの一つひとつが、ユーザにいかなる体験価値を与えられるのか、常に考えながら実装していくことが欠かせないんです。

あとは「変化を楽しめる人」も挙がりますね。自分の関わることにこだわりを持つのも大切な一方で、それこそ僕が経験した「DX Suite」の開発方針の大きな転換が決まったときのように、AI inside は常に変わり続ける環境です。「いかに早くユーザへ届けるか」にフォーカスするために、開発にあたって技術選定も大切ですが「実現性」を重視しています。

ドラスティックな変化を前にして、プロダクトへの愛情はあるけれど、こだわり「すぎない」気持ちを持てることも必要になってきます。リーダーとしての僕の仕事は、そういった変化に対して、エンジニアにいかに納得してもらうかにも懸かってきていますね。

AI inside における正しいプロダクトは、ロジックが正しいものではないのだと思います。正しいプロダクトとは、使ってもらえるプロダクトです。

ー いい言葉ですね。

とはいえ、もちろん大変な面もあります。考えることが多いですし、ビジネスですから期限もあります。でも、楽しいですね。普通に直面すれば無理そうなことを求められると、僕はニヤニヤしてしまいます(笑)。一見は無理そうなことを「でも、こうすれば達成できるのでは?」と考えていくのが、すごく楽しいんですよ。

それは、AI inside の推進力でもあるのだと思います。入社前に渡久地さんと面談したとき、「AI inside の時価総額を◯年後に◯兆円にしたい」と言われて。たぶん無茶なことへ挑もうとしているけれど、それに「無理だ」とは返さず、「やれる手段はきっとある」と考えるのが大事なのでしょう。

僕の人生経験から言っても、福岡から未経験者で上京してきて、いろんな縁を得てここまで来たわけじゃないですか。「口に出して、行動すれば、なれる」って素直に思うんですよ。「エンジニアになりたい」「もっと大きな会社へ入りたい」「自社プロダクトを作りたい」と僕は人へ伝えて、望んだことを実現してきていますから。

なんでも、できるもんだ、って思っているんです。諦めないことですよね。

(文・写真/長谷川賢人)
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