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「絶対にできない」を全力で実現へ、 創業当時のAI inside と「DX Suite」誕生の裏側

2015年8月に創業したAI inside。人数も増え、組織も拡大し、いまでは30以上のユニットで事業を推進する体制となりました。「世界中の人・物にAIを届け、豊かな未来社会に貢献する」をミッションとし、さまざまなものにAIが活用されている世界の実現に向け、これまで歩んできました。

今回のnoteでは、創業者である代表取締役社長CEOの渡久地と創業当時から開発に関わるNoda(VP of Service Development & Refactoring Unit)に、創業当時と「DX Suite」誕生の裏側をインタビューしました。

代表取締役社長CEO 渡久地択 (写真右)
AI inside 株式会社 代表取締役社長CEO。2004年より人工知能の研究開発をはじめる。研究開発と同時にビジネス化・資金力強化を行い、2015年同社を創業。AI inside のサービス開発と技術・経営戦略を指揮している。

VP of Service Development & Refactoring Unit Noda (写真左)
2016年5月にAI inside に入社して以降、開発に携わる。現在は、Service Development & Refactoring UnitのVice Presidentとしてユニットのマネージャーを務める。

開発も営業も、全員が全部行うガムシャラさ

ー 2015年の創業当時と今を比較して、どのような変化がありましたか?

渡久地:当時と今とでは、組織体制が大きく変わりましたね。今でこそ開発と営業がチームとして分かれていますが、当時は一人ひとりが開発して売ってと、兼務が当たり前のような体制でした。まさに、スタートアップ。私自身もプログラマーなので開発もしていましたが、同時に営業もしていました。Nodaさんも開発で入社しているけど、営業もしていましたよね。

Noda:営業もしていましたね。職種に関係なく、全員が開発・営業に携わる形で、ガムシャラにやっていました。

渡久地:そうですね、だから自然と、全社的にAIやプロダクト開発の進捗や、営業進捗、顧客の抱える課題などの情報共有が行われていたと思います。開発であっても新しく「DX Suite」を使ってくださるユーザ様のことを知っていましたし、だれもが「DX Suite」の操作方法をよく理解している状態で、プロダクトに対するフィードバックも盛んでした。

Noda:2016年5月に私は入社しましたが、当時は開発者が渡久地さんしかいない状態で、正直驚きました。最初は私自身もフリーランスで開発に携わっていたのですが、渡久地さんとお話しし、戦略や思想に感銘を受け、入社を決意しました。入社した日はとても印象的で、今でも覚えています。他の社員もユニークな方もいてびっくりした記憶があります。

渡久地:今思うと、笑えるようなことも結構ありましたね。息抜きに着ぐるみを会社で着てミーティングしていたこともありました。ハロウィンだったからですけど(笑)

Noda:ありましたね〜!懐かしいです!(笑)

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ー 当時はどのようなサービスを開発していましたか?

Noda:最初はシンプルに画像をインプットして読み取り、CSVで出力する、というような仕組みのものを作ってました。今の「DX Suite」のように画面上で読み取った文字が正しいかどうかをチェックするというよりは、ファイルをアップロードして画像から文字を読み取り、そのままCSVで出力というシンプルなものでした。

渡久地:PC上のフォルダにPDFを入れたら、FTP*で通信してクラウドで処理して、PC上のフォルダにCSVを戻すっていう、ノーコードならぬ、ノーインターフェースだったよね。

Noda:画期的でしたよね!

渡久地:今多くの方に使っていただいている「DX Suite」をサービスとして広くお客様に提供を開始したのは、2017年11月です。創業から2017年11月までは、500社以上のお客様と関係作りをして帳票データを集めて、開発に活かしているような時期でしたね。

いまの「DX Suite」は学習を重ねてきたので、手書き文字にも強く精度もある程度高くなっていますが、当時はAI-OCRというものがまだ珍しく、AIの精度に対する期待が今よりも高かったと思います。100%読み取れるというイメージがあったためか、ちょっとでも読み取り結果が間違っていると、お客様からすぐにご連絡いただくこともありました。

Noda:当時は「AIは完璧で間違わない」というイメージでしたよね。AI-OCRがどういうものかお客様に理解していただく必要があり、サービスを単に販売するだけではなく、AIに対する理解を広めていく啓蒙活動でもありました。

渡久地:それはありますね。AI-OCRに対する社会の認識を広めてこられたのかな、と思います。

*FTP:File Transfer Protocolの略。サーバーとクライアント間で、ファイルを送受信する通信の決まりごと

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1週間でプロトタイプを作り、お客様に提案へ

ー 現在の「DX Suite」 はどのようにして生まれたのですか?

渡久地:サービスをお客様に提供する中で、社内外から様々な要望を受けました。ニーズを満たすようなサービスを改めて考えるために、ホワイトボードを使用しながらデザインスプリントを行いました。帳票サンプルを用意して、自分たちでテストしてどこに操作の手間がかかってしまっているかなどを検証しました。

Noda:そこで洗い出した課題を改善した段階のもので、「DX Suite」に近いものになりましたよね。

渡久地:片鱗ですね。ここまでおおよそ一週間ですね。1日目にデザインスプリントを行って、2日目にデザイン起こしで要件を固め、3日目で作る。4日目でテストをして、5日目に課題を直す、という流れでした。

Noda:あの時は全員で検証用・学習用のデータも集めてましたし、アノテーション*もしてましたよね。あれは大変でした(笑)

渡久地:黙々とデータを作ってましたね。その時は気づかなかったですが、後から振り返ると宝物のように貴重なデータだったと思います。

Noda:確か、初めての受注は渡久地さんが営業担当していた案件でしたよね。

渡久地:初めて受注したのは2017年8月でした。それまでは特にサービス名はついていなかったのですが、この時期に「DX Suite」と名付けました。

DXが世の中で進んでいくというのは、ほぼ確実に訪れる未来なので、そのDXをサポートするサービス群を作る、という想いを込めて名付けました。「Suite」は重ねていくという意味があり、一つのソフトウエアのなかで、様々なサービスを重ねるというイメージです。

端にAI-OCRを利用するサービスではなく「DX Suite」というサービス上に、いち機能としてAI-OCR「Intelligent OCR」があるというコンセプトで始まっています。最初は「Intelligent OCR」しかなかったので「Suite」ではなかったですが、今では「DX Suite」上で「Intelligent OCR」以外にも自動仕分け機能の「Elastic Sorter」など他のオプション機能も選べるようになっています。また、パートナーや他の企業などと一緒に作るAIも取り込んでいくという意思がありました。この考えは、いま私たちが目指しているプラットフォーム戦略やマーケットプレイスに繋がっています。

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Noda:リリースしてみて、考慮できていない部分もたくさんあったので継続的に直して改善してきました。社内では全員がアカウントを持っていて、全員でテストしていましたね。

渡久地:とにかく自分たちがたくさん自社サービスを触らないと、お客様へも提案できませんし、完全にドッグフーディング*でしたね。

*アノテーション:機械学習のモデルに学習させるための教師データ(正解データ、ラベル)を作成すること
*ドッグフーディング:IT業界などで自社製品・サービスを実際の使用法で社員らが日々利用しながらテストを行うこと

「絶対にできない」を実現するブレイクスルー

ー その後の2018〜2019年はどのような年でしたか?

渡久地:サービスの拡充とともに他の企業さんと一緒にプロジェクトを進めたり、アライアンスも増えて、実りがあった年ですね。精度が向上した時期でもありました。

Noda:2018年5月に急激に精度が上がりましたね。エンジニアがワーケーションのようなことをしている中でいい発想が生まれ、AI-OCRの精度向上のブレイクスルーにつながりましたよね。

渡久地:一週間の獲得契約数が伸びてきたのが、その年の8月ぐらいだったかと思います。カスタマーサクセスの部門を作ったのもこの頃です。サービスの品質をあげることと、ユーザ様のフォロー体制作りをこの時期に行い、以来体制を強化してきました。

Noda:あとは「Elastic Sorter」に関連したブレイクスルーもありましたよね。当時、帳票の仕分けをOCRによって実装しようとしていて、その複雑な設定や運用をどういうUI/UXとするか、どのような機能として開発していくか、ということを悩んでいました。渡久地さんにも相談し「特徴量*で仕分ける」ことで、実現できました。

渡久地:OCRによる仕分けを検討するというのは、とても“常識的”なんです。失敗したら失敗した理由もわかるし、どう処理させたいかも、ユーザがコントロールできる。だけど、そんなことしたいユーザは存在しない、というのが僕の考えです。むしろ仕分けの先にある業務における改善を求めているのであって。だから、仕分けで一切設定のいらない発想を提案しました。

周りからは特徴量で仕分けるなんて「絶対できません」「やってる会社はない」と言われたのを覚えています。それであれば尚更、私たちがやる意味がありますし、チャンス・良い話だと思いましたね。

Noda:結局は実現できましたね。今や「Elastic Sorter」に帳票データをアップするだけで、数百種類の帳票を見分けて瞬時に仕分けてくれます。これは人には困難な作業なのでユーザ様にもとても喜ばれている機能です。他にも、特徴量の技術を応用して、傾いた書類を自動補正して読み込むことで、さらに様々なパターンの帳票の文字を読み取れるようになりました。

*特徴量:画像を認識するためのパターンになる指標。

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みんなで共有し、イノベーションを起こす全体感

ー 最後に、今後はどのような組織を目指していきたいですか?

Noda:会社の成長とともに、優秀なメンバーがどんどん増えていますが、今後もスタートアップとして挑戦していくというマインドは大切にしていきたいです。

今日までいくつものイノベーションを起こせたのは、困難に直面した時でも可能性を諦めずに、みんなで知恵を絞ってあらゆる手段を駆使する粘り強さがあるからだと思います。そのためには効率的にガムシャラにチャレンジすることが必要になります。

世界一の企業を目指して、一瞬一瞬を共有しながら進んでいくスタンスは、これからも大事にしていきたいですし、カオスさをもっと楽しんでいきたいですね。

渡久地:多くのユーザ様にご愛顧いただき、AI inside が成長してきた理由には「絶対にできない」と周囲に言われてきたことでも実際にイノベーションを起こしてきたという点があります。課題に対して地道に向き合い改善し、みんなで進めていく、その社風をこれからももっと大事にしていきたいと思っています。

AI inside が大切にしているマインド「Rules of Innovation」については、ぜひこちらの記事をご覧ください。


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AI inside 株式会社の公式noteです。AI inside で働く人々や社内の様子をお届けします。「世の中の人・物にAIを届け、豊かな未来社会に貢献する」をミッションに、誰もが特別な意識をすることなくAIを使い、その恩恵を受けられる社会の実現を目指しています。