NTTデータがエコシステムでつなぐ、AIソリューションによる社会変革 【AI inside × Innovator #1】
第一弾となる今回は、AI inside でパートナーグロースを担う阿部(以下、AIi 阿部)が、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下、NTTデータ)が描く社会課題の解決にむけたAI活用とその戦略について、ソーシャルイノベーション事業部 RPAソリューション担当の森 和彦部長、橘 俊也課長、押尾 聖人さんにお話をお伺いしました。
エコシステムで広がる、RPA×AI-OCRソリューション
AIi 阿部:早速ですが、皆様の部署のミッション、サービスやソリューションをお伺いできますでしょうか。
森さま:NTTデータは、お客様のためのシステム開発や自らネットワークサービスを展開しています。業務ノウハウや様々な技術を組み合わせるシステムインテグレーションを強みとし、2025年にはグローバルトップ5に入るITサービス企業となることを目指しています。
その中で、私たちソーシャルイノベーション事業部 RPAソリューション担当は、国内シェア1位のRPAツール「WinActor」やパートナー企業各社のソリューション、ノウハウを組み合わせることで、お客様のDXを支援しています。
AIi 阿部:当社との連携の背景や、これまでの取り組みについて改めて教えてください。
橘さま:実は50年もの間、私たちは自治体や官公庁、金融機関を中心にOCR(Prexifort-OCR)を用いたシステムを提供していました。従来のOCRは定められたフォーマットであれば高速かつ精度高く文字を認識できるのですが、フリーフォーマットの手書き文字の精度は高くはないという課題がありました。数年前、少しずつ市場に出回り始めた当初、世の中のAI-OCRはまだ認識精度が低く読取速度も遅いために実用までに至りませんでした。
あるときAI inside 社よりAI-OCR「DX Suite」のデモを見せていただいたのですが「こんな文字まで読み取れるようになったのか」と本当に感動しました。それから3ヶ月ほどの短期間でサービスを立ち上げ、共同で提供を開始したのが2019年でした。当時は「これは絶対にお客様に喜んでもらえるだろう」という確信もあり、ワクワクしたのを覚えています。
AIi 阿部:当時は我々もまだAI-OCR市場を作っている時期でしたが、御社はかなり力を入れてDX Suiteを広めてくださっていた印象です。そこにはどのような要因があったのでしょうか。
橘さま:WinActorを中心として連携している350社もの特約店や3,000社以上のパートナー企業とのエコシステムがあったからこそと思います。RPAを使った業務自動化のネクストステップとして紙処理の自動化にチャレンジしたいという要望をパートナー企業より多くいただいておりました。WinActorとDX Suite は連携も容易ですし、お互い自動化の効果をすぐに出しやすいので、WinActorの良き相棒として提案ができたことも要因のひとつですね。
単なる業務改善で終わらない、DXの第一歩
AIi 阿部: 当社との取り組みの中で、印象に残っている案件はありますか。
押尾さま:ある大手企業様で、本社に導入して成果の見込みが出てきた段階で、どんどんグループ会社にまで広がっていった事例が印象的です。DX Suite は、購買部や人事部など部門や業務が異なっていても共同利用ができて広げていけることが強みですね。さらに、誰でも簡単に使えてすぐに効果が出せることがグループ会社への展開まで進んだ決定打と考えています。グループ全体の業務改善に貢献できたというスケールの大きさには非常にやりがいを感じました。AI-OCRは、文書のデジタル化による業務時間削減だけに留まらないDXの第一歩となる大きなインパクトを生み出す商材と考えています。
AI技術とNTTデータが培ったノウハウの掛け算で新たな価値を創出
AIi 阿部:継続して取り組みを進めてきた中で、両社で取り組む今後の戦略についてはいかがですか。
橘さま:RPAとAI-OCRのクロスセルに留まらず、弊社と特約店が築き上げるプラットフォームやサービスに組み込んで、読取から文書保管まで含めた業務トータルで自動化・高度化できるソリューションへと昇華させたいです。
AIi 阿部:当社としてもさらに導入されやすくなるよう、ユーザエクスペリエンスを突き詰めていきたいと考えています。当社技術を組み込んだ新たなサービスや取り組みなども検討されていますか。
橘さま:そうですね、AI inside 社 が提供するLearning Center には非常に注目しています。文字だけではなく物体検知までできる「AIの目」をノーコードで誰もが簡単に作れる技術に胸を躍らせています。今まさに、弊社が提供するシステムイングレーションやソリューションと組み合わせた新たなサービスの検討を始めたところです。例えば、製造業における不良品検知や、インフラにおける故障点検、医療におけるレントゲンの自動診断、介護における転倒検知など、今までは人がやることが当たり前だった業務に革命を起こしたいと考えています。
AIi 阿部:当社はAIの学習基盤を自社で開発し、そこからサービスを生み出して提供することで成長してきました。この学習基盤をサービスとして提供し、AI開発の民主化を推進するのが「Learning Center」です。両社の掛け算によってさまざまな形でAIを届けていきたいですね。
森さま:AIを意識しない世界をいかにユーザーの手元で実現できるのか、それを描くことが両社のこれからの取り組みになってきます。私たちの目指すところは、AIやその他のテクノロジーを活用し、どのようにして良い社会を作っていくのか。AI inside 社の目指す世界と当社の持つ技術や知見などを組み合わせ、ソリューションを継続して模索しなければなりません。
そのためには、まず新しいソリューションをどんどん世に出していきましょう。中には外れるものも出てくると思いますが、そこを恐れずに一緒にユーザーの声を聞きながらより価値の高いものを次々と出していくことが大切だと考えています。
両社が目指す、豊かな社会を実現する新しいAI活用
AIi 阿部:これまでパートナーシップを強化するなかで様々な実りがあり、私としても非常に嬉しいです。両社の今後の展望についてはどのようにお考えですか。
橘さま:ある企業で成功した業務改革の仕組みを他企業に展開していくエコシステムを築いていきたいと考えております。特にAIはノウハウを溜めて、みんなで共有しあって育てていくものだと考えていますので、そういった世界を共に実現したいです。
押尾さま:この1年間だけでも、RPAやAI-OCR市場を含め、社会が大きく変わっていくのを体験してきました。そして5年後はきっと全く違う世の中が待っているのだろうなと想像します。その中で、AI inside 社の商品開発力と当社のノウハウとを掛け合わせて、インパクトのあるソリューションを一緒に作りたいと考えています。
森さま:両社は大事にしている軸が似通っていると感じています。NTTデータは企業理念に『情報技術で、新しい「しくみ」や「価値」を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する』と掲げています。一方でAI inside社のミッションは「世界中の人・物にAIを届け豊かな未来社会に貢献する」とされています。両社とも「豊かな社会」をキーワードにしており、本気で実現しようとしている。試行錯誤しながらも、この目指す未来を実現できるよう、共にトライしていきましょう。
AIi 阿部:現状、AIを実際に導入するまでには概念実証(PoC)などの壁があり、業務適用までのハードルは未だに高いです。AIを活用すれば変わることはイメージできていても、本当に効果が出るのか確証が持てず導入に至らないことも少なくありません。御社となら答えを見つけていけると感じていますので、これからも今まで以上に、AIの社会浸透に向けての取り組みをご一緒できればと思います。本日はありがとうございました。
社名:株式会社NTTデータ
所在地:〒135-6033 東京都江東区豊洲3-3-3 豊洲センタービル
設立:1988年5月
URL:https://www.nttdata.com/jp/ja/
※本記事はAI inside コーポレートサイト「STORY」からの転載となります。「STORY」URL:https://inside.ai/story-all/