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日本発のAI運用基盤で「GAFAMに勝る」インフラエンジニアの可能性【MY CAREER STORY】

「誰もが使える世界規模のAIプラットフォーム」を実現しようとするAI inside。そのためにはAIの運用基盤やインフラ整備は欠かせません。フルスタックエンジニアとしての経験を活かし、この大きな目標へ向かうためのインフラチームを率いるリーダー・三谷辰秋にインタビュー。彼が入社を決めたのは「GAFAMにも勝る」とも信じられる可能性に賭けたからでした。

三谷辰秋(Tatsuaki Mitani)VP of Infrastructure Unit / SRE
東京工業大学を卒業後、アクロクエストテクノロジー株式会社を経て、2020年11月AI inside 入社。インフラ周りの運用・開発やQAを担うユニットを率いる。好きな言葉は「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ」(荒巻大輔)。

※内容や肩書・所属は記事公開当時のものです

決め手はCEOが語った「世界を目指す」の本気度

ー AI inside に転職を決めた動機は何だったのでしょう?

前職では、ミャンマーの開発拠点への赴任や、機械学習を用いて建物などの設備保全を自動化するシステムの開発などに携わっていたのですが、あるプロジェクトでユーザにより近いプロダクト開発を経験したことがありました。それが、とても面白かったんです。

そういったユーザに近いプロダクト開発にもっと関わりたくなったのが、転職先を探すきっかけでした。いくつか候補はあった中で、AI inside に決めたのは、CEOの渡久地さんが良い意味で「ぶっ飛んでる」と感じたこと。渡久地さんは「世界を目指す」と本気で言う人です。

僕は、スケールの大きなことが子どもの頃から好きなんです。大学の進路も「エネルギーを活用することで世界をもっと平和で豊かにできないか」と問いを立てて、風力発電を研究することに決めましたから。

ほかにも、天体や気象には今でも興味が尽きません。先日も「地球から約135億光年先に銀河が見つかった」というニュースにはワクワクしました!

今でも夜に、星を見に行ったりもしますね。仕事を終えた金曜日、少し遠くまでクルマを走らせて、天体写真も撮ります。日本なんて、本当にちっちゃい、はじっこの島国です。だからいつも世界を目指していたいし、目線は宇宙にまで届けていたい。僕は月よりも、その次に来る火星を見たいんです。片道切符であっても、きっと行きますよ(笑)。

ー AI inside の展望が、三谷さんの興味や志向にもぴったりハマった感じですね。

日本市場がシュリンクしていくなかで、これからも世界的に発展が望め、自分にできることを探していたように思います。AI inside の「世界中の人・物にAIを届け豊かな未来社会に貢献する」というミッションが実現して、全てにAIが浸透したら、確かに世の中が変わるはず。しかも、それを「世界で勝てない」と言われ続ける日本企業から果たそうとしている。

渡久地さんとの採用面談でも、その本気度が知りたくて質問しました。渡久地さんはこれまでに数社の起業と売却の経験があるのですが、「本当にやりたかったのはAI inside の事業だ」と答えてくれました。この会社を売却する意志はなく、この野望のために渡久地さんのこれまでの積み重ねがある。そういう場所なら、自分も賭ける価値があると思えたんです。

僕自身は表に出て、バリバリとみんなを引っ張っていくようなタイプではありません。ただ、自分が携わったことで本当に世の中が変わればいい、とは願っています。それに「AI inside ならGAFAMにも勝るかもしれない」と思えるのは、スケールが大きくて、良いじゃないですか。

世界をつなぐ「仮想のデータセンター」構想

ー どういった点が「GAFAMにも勝るかもしれない」という可能性を感じますか。

AI insideでは、提供するサービスで「AIを作る」「AIを使う」「AIを動かす」というAI運用の全てをまかなえるプラットフォーム構想を掲げています。僕らは3年以内に世界規模のAI運用基盤をつくろうとしています。

AWSやGCPといったパブリッククラウドに加えて、僕ら独自の言わば「仮想のデータセンター」を構築し、それらをハイブリッドにつないでAI運用基盤として提供します。僕らはその仮想分散型のAIネットワークを「Leapnet(リープネット)」と呼んでいます。

世界のさまざまな場所で、簡単に、すばやくデータセンターに接続できることで、安価にお客さまへ提供できるインフラを実現したいのです。ここに、GAFAMへの勝機があります。

「Leapnet」や仮想分散型AIネットワークについてCEO渡久地が語っている記事もあわせてご覧ください。

ー 「仮想のデータセンター」を構築できると、どういったメリットがあるのでしょう。

通常のデータセンターといえば、ある一室にたくさんのサーバーが設置されたイメージが浮かぶと思います。ビル一棟がセンターというのも珍しくはない。でも、日本は地震大国であるように、この環境は天災などの影響を受けやすい「弱い基盤」だと考えます。さらに、大規模であるほど投資は多額になり、設計も困難で、運用に年単位の時間がかかります。

そうではなく、僕らの「仮想のデータセンター」は、簡単にインストールしてすぐに使えるシステムを用いて、世界各地のサーバーをセキュアにつなぐことにより、一つの巨大なクラウドを形成しようという発想です。極端に言えば、手元に余っているノートパソコンをデータセンター用のサーバーにできれば、世界中で数が増やせて一気にスケールします。

また、僕らは「AI inside Cube」という独自のAI管理OSとソフトウェアを積んだエッジコンピュータも提供しています。これはAI運用に特化したハードウェアで、簡単にサーバーとして設置できるだけでなく、利用状況に合わせて「閑散期にリソースを貸し出す」といったフレキシブルな使い分けを可能にする仕組みの一つでもあります。

この構想が実現に近づいたのは、ネットワークを介したサーバー間での「分散学習」について、AI inside で研究が進んでいることも大きく貢献しています。従来は、単一のサーバー内でなければAIは学習できないとされてきましたが、駆動する機器が分散していても、学習を進められることがわかってきました。

それにより、ハイスペックなサーバーを用意するのではなく、ローエンドからミドルエンドのものを寄せ集めても、同様の学習が行えるのです。この技術はAI inside 内の研究チームを中心として進化が続いていますが、AIにおける一つの技術革新ではないかと思っています。

僕らの運用基盤が築けると、ある単独の企業が多額の投資をせずともデータセンターを設けられ、サーバーを用意するためのスペースも減るため、現状より圧倒的な安価が実現できます。当然、エンドユーザーの利用料にも転化されるでしょう。

主にGAFAMが推し進めているのは大規模投資型のデータセンターであり、巷にあるAI運用基盤の多くは高度なエンジニア向けに提供されています。一方で、AI inside が作るものは中小企業をはじめ、スマホにアプリを入れるようなイメージで、誰にでも簡単にAI運用のためのコンピューターリソースを得られることを目指しています。

ー 自社内に研究チームがあって、常に進化していくのはダイナミックで良いですね。

これが、すごいんですよ!研究の成果で「処理件数が向上しました」といわれたら、従来比の5%や10%といったレベルではなく、一気に200%も性能がアップしたり。

定期的に研究発表の場が設けられているのですが、それを受けて僕らも実際に検証するように働きかけることも多いです。社内で専門に研究しているからこその成長速度だと感じますし、まさに革命に近いことがよく起きるんです。本当に面白いなぁ、とワクワクしますね。

不確実性なものこそが楽しく、メンバーとは活発に議論する

ー 三谷さんは現在、どういった職務に就かれていますか?

主に、AI運用基盤とデータセンター構築に関わる、インフラ周りの運用・開発ユニットのリーダーを務めています。メンバーは今のところ17名ほどで、インフラエンジニアが半分、QAが半分といったところでしょうか。AI inside が提供している複数のプロダクトを横断してみています。

ー 最近、取り掛かっている難題があったら、ぜひ教えてください。

スタートアップのプロダクト開発は、ユーザ体験の向上や技術革新を背景に、開発方針が急に変更となることもあります。もちろん、社内で議論を戦わせて合意の上で進めるのですが、時にはこれまでの考え方や手法を覆さなくてはならないなど、難しいこともよく起きます。直近もそういったケースがありました。……さて、どうすべきか、と考え続けています。

でも、僕自身はそれも楽しくて。「難しい」や「わからない」といったように、不確実性のあるものこそが楽しく、確実性のあるものはあまり面白くないタイプなんです(笑)。

今のAI inside には、まさにそういう不確実性を楽しめるメンバーが集まっているようにも感じます。先ほどの開発の方針転換の例だと、考えが保守的ならそういった決断はできないでしょうし、その推進力も一気に削がれてしまうはず。かといって、全員が“イケイケドンドン”だと空中分解してしまう。インフラエンジニアとして、保守的と前進的のバランスは意識しています。

ーそういった不確実性の高い課題には、どのようにアプローチをすることが多いですか。

解決へのイメージが湧くまで、まずはメンバーと議論しますね。僕は開発陣のなかでもよく喋るほうみたいです。話し合うほうがより物事が進みますし、わからないことへ向かって一緒に突き進んでいくわけですから、メンバーにも納得してもらったうえで取り掛かってもらうのが重要なのかなと。

僕ひとりで引っ張って進むより、みんなで一斉に推進していくパワーのほうが大きいと考えています。何より、AI inside の開発陣は僕よりも優秀な人がたくさんいますから、一緒に進めたほうがより良い成果が出ると思っています。

議論を大切にするには、社内には国籍などバックグラウンドの異なる人が多く、いろんな考え方を持つ人がいるのも大きいです。みんなが何かしらのスペシャリストであったり、専門領域を持ったりしています。そこに僕自身の考えもぶつけることで、新しいものが生まれてくる。そういう意味でも、メンバーにも「会話」を重要視することは伝えていますね。

インフラエンジニアがハッピーになれるユニットに

ーさらに世界を目指すためにも「もっとこんな人に加わってほしい!」というイメージがあれば、ぜひ聞かせてください。

まさに「AIで世界を変えたい」や「世界規模を目指したい」というベースは絶対に大事ですね。あとは、不確実なものでも楽しめ、解決のための議論やコミュニケーションができることは、基本的な資質として必要かとは思います。

技術要件では、世界規模で動かすためにインフラ基盤はKubernetesを採用しています。開発や運用の経験がある方には、ぜひ来ていただきたいですね。これから先、世界へインフラを広げる際にも重要な技術要素であり、ベースにもなってくるはずですから。あとは、データセンター周りの構築経験を持つ方も歓迎です。

ー三谷さんが思い描いている「AI inside のインフラエンジニア」としての理想的なあり方とは、どのようなイメージですか。

僕自身が目指しているのは「ハッピーなプロダクト運用」です。そのためには3つの軸があると考えています。

一つ目は、ユーザです。AI inside のサービスやプロダクトを「本当によかった」と使ってもらえること、それらを安定的に提供することが、僕らとしての使命です。

二つ目は、プロダクトの成長。インフラだけでなく、プロダクトやアプリケーション開発のエンジニアも、クレーム対応から出るマイナスをゼロにする活動ではなく、ゼロからプラスを生むような活動をして、より良いものを世の中に提供できるようにすること。それがプロダクトとしてのハッピーであり、ユーザーにも歓迎されます。そのサイクルが重要です。

三つ目は、オペレーションですね。インフラエンジニアの業務はすごく地味ですが、しわ寄せがきやすいところでもある。夜間のオンコール、休日でも緊急対応といったこともある。でも、運用者も人間ですから、ハッピーでなくてはなりません。そのために、システムの自動化や社内の制度化など「仕組み」でカバーできることを、常に発展させていく。

特に三つ目は、運用者自身がハッピーになるためにも必要であり、僕としてはインフラエンジニアとして最も面白いところでもあるかな、と思っています。僕はラクをするのが好きなんです。自分がラクするためにも、現状でツラいものをツラいままにしておきたくない(笑)。

そのモチベーションがあるからこそ、平準化したり、誰でも担える仕組みにしたりして、もっとラクなオペレーションを作っていく。その意味では、AI inside は既存の基盤を改善するのではなく、まさに基盤を構築していく過程にあるわけですから、初めからラクができるような仕組みを最初から作ってしまえる。それも案外大事なことだと捉えています。

インフラエンジニアがハッピーになれるユニットにする。それが、僕のリーダーとしての最も強い想いですね。

そして、僕自身としては「世の中を変えたぜ!」と、わが子に伝えられるインフラエンジニアになりたいですね。「あれもこれも、お父さんが作ったものなんだよ」と、胸を張って。

(文・写真/長谷川賢人)
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