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"ありえない"と言われたAI事業の創業からグロースまで ハードシングスの乗り越え方【イベントレポート・前編】

2022年4月27日に、「"ありえない"と言われたAI事業の創業からグロースまで ハードシングスの乗り越え方」をテーマにAI inside 主催のトークイベントを開催しました。

冒頭では、渡久地と西川が、それぞれ創業前後の課題やミッション・将来像などをプレゼン形式にてお伝えしました。フェーズごとにどのようなことが課題だったのか、どのような選択をしたのかなど、起業家視点で語りました。

今回のnoteでは、視聴者からいただいた質問に答えるトークセッションの内容をレポートします。

冒頭のプレゼンテーションは本noteでは割愛しておりますが、アーカイブの視聴も可能ですので、本編が気になる方は、ぜひ以下のフォームよりご登録ください。

スピーカープロフィール

ファシリテータは、当時aiforce solultion COO の髙橋 蔵人、スピーカーはAIビジネスの起業家であることが共通点の2名、AI inside 代表取締役社長CEO兼CPOの渡久地 択と、当時aiforce solultion 代表取締役社長の西川 智章が登壇しました。

スピーカー

※2022年5月、AI inside はaiforce solutions の全株式を取得し、同社の吸収合併を完了しています。
※内容や肩書・所属は記事公開当時のものです

AIビジネスをスタートさせた両者の共通項

髙橋:お二人が「AI」という同じ言葉を使っていて、何が違うのかを補足すると、AI inside は画像データに興味を持っていて、aiforce はテーブルデータという領域や自然言語一部の領域に興味を持っていました。

AIには材料となるデータが必要です。データは色々な種類がありますよね。画像データもあれば、数字のデータもある。自然言語や音声もあって、大きく4つぐらいあります。両者は、お互いの強みとなるデータの観点からAIに入ったという背景があります。

また、共通項として、実は渡久地さんも西川さんも両方エンジニアです。やはりエンジニアのことがわかり、ビジネスやプロダクトもわかるのが両代表の特徴です。

あとはビジョン。「AI民主化」に通づる近しいビジョンを持っていて、AIを社会に浸透させるために、価格感を下げていく、というところが共通項としてあったかと思います。

プロダクトの根幹は強い課題意識から

高橋:ここからは質疑応答に入っていきたいと思います。私が用意していたところから1点目です。まず、事業の出だしのところ。今、多くの企業がDXに取り組んでいて、まずDXのためのスキルを身に付けようとしてきました。

でも、いかに既存事業において、しっかりデジタルデータを活用して新規事業へと変換していく、新たな価値を出していくかということが重要だと、企業が気づいてきていると思います。ここで1つ目の質問です。そもそも「何を作ったらいいのか」「何をやったらいいのか」という点に疑問を持つ人も多くいるのではと思うのですが、渡久地さん・西川さん、いかがでしょうか。

渡久地:社会課題に対しての解決方法を提示しなきゃいけないと思うんですよ。そうじゃないと、僕の考えでは、その会社は世の中にとって必要ない会社だと思うんです。だから当社の場合は、人類の進化・社会課題に対して解決方法を提示したいという感じですね。

逆に言うと、よくあるんですけど、あんまりグッドじゃないなと思うのは、自分がやれることや、これまでの知見から考えたり、得意なことから考えるっていうのは全然イケてないんじゃないかなって思いますよね。

登壇資料の一部

西川:自ら起業をし初めに作るプロダクトと、企業が新たに始めるようなプロダクトのビジョンは、出どころが若干違うかなとは思っています。初めに作るプロダクトは、やっぱり強烈な課題認識だと思います。

私は、何とかしないと「日本がもう駄目になるんじゃないかな」「この業界も何かダメな人ばっかり育成してるな」という風にちょっと思ってしまって、これは何とかしたいと思ったところからプロダクトの発想があります。

ビジョンは、私はやっぱり海外から影響を受けています。特に前に住んでいた中国ですね。トライする回数が多いし、投入する資金の桁が違うし、AIの技術者も全然量が違うし、圧倒的な違いなんですよ。

これは、今後どうやって仕事をしていけばいいのかという強烈な危機感が小学校の時からあって、ここがバックボーンにはあるかなと思います。

髙橋:そもそも何を作ったらいいのかという時に、多くの企業さんは、自分達の強みからまずは走っていくと思います。

プロダクトアウトってよく言いますけども、作ってマーケットにぶつける。その時間軸はまず長いし、当てた結果も検証しないから、結局プロダクト作るだけで終わってしまうというのが課題として多いかと思います。

AIの事業として成長までさせてきたお二人の話から、まずはどういった社会の課題もしくは広い意味で解決したい業界課題、そこをまず捉える。その上でしっかり自分たちの強みを捉えるというところが大事なんじゃないかなと思いました。

不安定な情勢も長期的に大きな視点で見る

渡久地:チャットでも質問いただいていますね。海外展開進出を視野に入れてる段階で、世界情勢が不安定になってますが、今後の展望はどうお考えでしょうか、と。

まあ、直近で見るといろいろ不安定とも捉えられますけど、長い目で見たらこういうのもたくさんずっとありますから。振り子で、今左に行ったらまた真ん中に戻ってきて、また右に行くみたいな。

こういうことをずっと繰り返してるだけなので、そこまで直近のことにとらわれなくてもいいんじゃないかなっていうのは僕は思いますけどね。と言いつつ、いろいろ調べて動きはしますけど、大きく見たらあまり関係ないんじゃないかなと思います。

髙橋:西川さんはどうですか。プロダクトアウトする時っていろんな社会情勢も動いている中で、戸惑いがあると思いますがどうでしょうか。

西川:あんまり短期的なことは考えてなくてですね。株価と一緒かなと思っています。1年の中でめちゃくちゃ動くと思うんですが、例えば10年、もうちょっと長く100年ぐらいで見ると、落ち込む時はあるんですけど、また戻るだろうというのがあるので、その中で見ていけばいいのかなとは思います。

西川さんの描くAI民主化5.0のビジョン(登壇資料より)

渡久地:そうですよね。10年タームで課題を見て、2・3年ぐらいで解決できそうなものをビジネスにするみたいな。適当に言うと、そんな感覚ですかね。(笑)

髙橋:AI inside もaiforce も、長期的なビジョン達成の手段としてプロダクトを位置づけているのが共通項なのかなと思います。

ハードシングスをハードシングスと思わない精神性で考え抜く

渡久地:次の質問もきてますね。「Learning Center」におけるハードシングスを教えていただきたいです、という質問ですね。

パッと思いついたのは、2020年の4月にリリースした時のことですかね。

その時の「Learning Center」は、正直に言うとやばかったです。

今だから言えることですが、アーキテクチャの設計を間違ってました。MVPで発表したのはいいんですけど、1社しか提供出来ない状態だったんですよね。

しかも1社しか提供できないだけじゃなくて、ユーザー登録も1人しかできなくて、学習データのアップロードとアノテーションができるけど、学習ボタンが動かないみたいな。。。

作ったAIを使うこともできないような状況を、リソース集中投下で解決しました。今は多くのユーザに提供できるものになって、他の機能も見違えるほど良くなっています。

髙橋:なるほど。いわゆるハードシングスを乗り越える時、どう乗り越えたかっていうのも一つですし、今世の中にないものを作っていく、その先に成功があるという時に、マインドセットとしてどういったものを持っておくといいんでしょうか。今度は西川さんからお願いします。

西川:ハードシングスっていうのはそんなになくてですね(笑)。いやもう、中国に住んでた頃の方がひどいので。死ぬことはないだろうなって思ってるんで、あんまりないかなと。

渡久地:でもそういうマインドを持てってことですよね。(笑)

西川:そうですね。(笑)

渡久地:そうはいっても大変な時ってあるじゃないですか。たぶんその時はやっぱり、その何か解決方法を探さなきゃいけないっていうか。もうやり抜くしかないんで、僕はそういう時はまず常識的に考えちゃいけないと絶対的にそう思っていますね。

常識的な発想で解決しようと考えると、めちゃくちゃ時間かかって結局できないとかになるんで。誰から反対されても絶対やり抜こうっていうぐらい、正しい方法を見つけられるまでちゃんと考えるっていうことかなって思いますね。

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前編はここまでです。
後編では、開発以外で一番時間を要したことやグロースに悩んでいる方へのメッセージを公開します。

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