手書きの予診票データ化にAI活用、 新型コロナワクチン接種記録管理の裏側
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手書きの予診票データ化にAI活用、 新型コロナワクチン接種記録管理の裏側

昨年より猛威を振るう新型コロナウイルスへの対策として、今年からワクチン接種がスタートし、2021年9月時点で国内総人口の半数が2度の接種を完了したとの報道がありました。

ワクチン接種を受けられた方は、接種当日に「予診票」を手書きで記入し、医療機関に提出されたのではないでしょうか。この予診票は提出後にデータ化され、ワクチン接種を終えた方の情報管理に活用されています。

今回お話をお伺いした、ITサービスの総合力を強みにもつ大手システムインテグレーター、SCSKグループでBPO事業を手掛けるSCSKサービスウェア株式会社では、予診票をデータ化する業務に取り組まれています。その中でAI inside のAI-OCR機能を持つ「DX Suite」とエッジコンピュータ「AI inside Cube」を導入いただきました。同社が本業務においてどのようなデジタル化や工夫を行い、社会を縁の下から支えているのかご紹介します。

人材採用の課題と市場の変化からデジタル化を推進

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第三事業本部 第二事業部 第一課 兼 業務支援課長 水野 達也 様

ーー 御社の事業内容をお聞かせください。
水野さま:弊社はITに関するさまざまなサービスを提供しているSCSKグループの中で、主にコンタクトセンターやバックオフィス業務などのBPOサービスを提供しています。私たちが勤務する名古屋センターでは、40年近く前からバックオフィス業務やデータ入力業務を中心に、多い時期で10社以上のデータ入力をオペレーター(データ入力担当者)が行なっています。

ーー 入力業務のデジタル化は、どのような背景から進められたのでしょうか。
水野さま:高齢化が進み、今後ますます労働人口が減少していくことは弊社にとっても大きな課題であると認識しています。データ入力は、いわゆる労働集約型のビジネスであるため、その担い手であるオペレーターが減少することは予想できていました。入力業務はそのビジネスモデル上、いかにコストを抑え、かつ早く正確にデータ入力ができるオペレーターを確保するかが非常に重要になってきます。

しかし、最近では入力スピードが速い人材の確保は、人件費の面から非常に難しい状況となっていました。また、ペーパーレス化によって、データ入力案件そのものが少なくなってきているという市場の変化も、デジタル化を推進する要因でした。

高いセキュリティと読取精度を求め、AI inside のサービスを採用

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「DX Suite」での予診票読み取り画面

ーー 今回、AI inside のサービスを活用された業務についてお聞かせください。
水野さま:新型コロナワクチン予診票のデータ化業務です。ここでいう予診票とは、ワクチン接種当日の健康状態を記入し、接種後には接種券を貼り付ける書類のことで、ワクチン接種を終えた個人情報を管理しています。2021年の年明け頃にお客様からご相談があり、3月頃から業務設計や要件定義を本格化させました。6月下旬には接種券や予診票の発送を開始するスケジュールであったため、5月のゴールデンウィーク明けからは業務を立ち上げられるように進めました。

ーー 弊社サービスを採用された理由をお聞かせください。
水野さま:本業務以前から、DX Suite は利用していました。導入を決めたのは、お客様からご依頼いただく帳票のほとんどが手書きであるため、手書き文字をより正確に読み取れるツールを求めていたからです。いくつかのツールを検討しましたが、DX Suite は想定以上に読取精度が高かったのが決め手でした。その後、民間企業様の会員申込書のデータ化業務や、新型コロナウイルスが感染拡大しはじめた2020年6月頃には、自治体様の定額給付金に関わる申請書類のデータ化業務で活用しています。

今回の予診票データ化業務では、DX Suite をインストールしたエッジコンピュータ「AI inside Cube」を利用しています。予診票には氏名、住所、生年月日、基礎疾患の有無など、取り扱いに厳重な注意が必要となる情報が記載されおり、非常に高いセキュリティが求められます。そのため、独立したセキュアな環境でデータ化を行なう必要がありました。また、データの送受信用に回線の帯域も確保したかったことも採用した理由の一つです。

自社開発のツールと組み合わせ、月間40万枚をデジタルデータ化

ーー 紙の予診票を読み取り、データを納品するまでの業務フローをお聞かせください。

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第三事業本部 第二事業部 第一課 寺本 朝真 様

寺本さま:自治体様から送られてきた紙の予診票をデータ化し、納品するまでにおおよそ1週間となっています。以下がその大まかなフローです。

①  接種を受けた方の紙の予診票を、郵送で自治体様を通じて受領
②  予診票に不備がないか目視で仕分けし、スキャニングして画像化(名古屋センター)
③-1 DX Suite で読み取り、データ化(名古屋センター)
③-2 40名弱のオペレーターが画像を見ながら入力し、データ化(沖縄センター)
④  DX Suite の読取結果とオペレーターの入力結果を突合し、一致しなかったデータはオペレーターが再度入力・修正(沖縄センター)
⑤  データを納品用に加工し、CSV形式で納品(名古屋センター)

一日あたり1万3,000件を超え、月間で最大で40万枚の帳票を読み取っており、非常に大規模だと認識しています。

ーー 業務フローで工夫された点をお聞かせください。
水野さま:APIを活用して、スキャナーで読み取った帳票を自動でDX Suite に送信し、テキスト化されたデータのダウンロードまで、一連の業務が自動化される仕組みを作りました。

また、接種現場で人が手で貼るシールはズレが生じ、枠に収まらないと読取精度が低くなるため、予診票の右上に貼られた接種券シールを別の画像として切り出すツールを自社開発し、シールの画像に傾きを調整するなどの加工処理を施してDX Suite へ連携しています。

ーー弊社からのサポートはありましたか。

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第三事業本部 第二事業部 業務支援課 森 敦史 様

森さま:はい、AI inside のカスタマーサクセスのご担当者様にサポートいただきました。例えばデータ加工の設定方法に関して、「帳票設定の際は、枠の線を含めたほうが良いのか」「読み取れなかった場合の設定はどうすれば良いのか」など、さまざまな場面でマニュアル以上のアドバイスをいただき、非常に助かりました。

入力・チェックは2名体制が1名に、入力から出力まで全自動化しリード短縮

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第三事業本部 第二事業部 業務支援課 近野 利州 様

ーー 今回のお取り組みにおける定量的な成果をお聞かせください。
水野さま:今回の取組はまだ始まったばかりで、あくまで2021年7月現在の数字になりますが、以前は一枚の帳票に対し入力担当とチェック担当の2名が稼働しており、人的リソースだけに焦点を当てると、約40%のコスト削減につながっています。全体的なコストでは、8〜9%ほど削減できました。

近野さま:沖縄センターでの入力以外のフローは、入力から出力まで人の手が介在しない、全自動となっているため、夜間でも休日でも動き続けており、短いリードタイムによるデータ化に成功しています。

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第三事業本部 第二事業部 業務支援課 小田 裕一 様

小田さま:DX Suiteの読取精度は、約95%が手入力の内容と一致しており、非常に高い精度であったと思います。残りの5%だけはオペレーターの手作業で確認、修正しています。

BPO事業のDXで、縁の下から社会に貢献する

ーー 今後のDXについての展望をお聞かせください。
水野さま:DXを進めていますが、まだコストとリソース削減は目標値には達していません。業務全体をより効率化していくためにも、人の入力そのものをAI-OCRにすべて置き換えていく必要があると考えています。AI inside の更なる精度向上や機能追加にも期待しています。

ーー 最後に、今回のお取り組みに対する感想をお聞かせください。
水野さま:我々のBPO事業そのものは世の中でも認知されにくい、縁の下の力のような存在です。しかし、この未曾有のコロナ禍で、一般の方の生活に直接影響するような事業に携わらせていただけることは、非常にやりがいを感じます。会社の方向性として、こうしたデジタル化、DXを社会貢献と考えて引き続き取り組んでいきたいですね。

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SCSKサービスウェア株式会社
住所:〒135-0061 東京都江東区豊洲3-2-24 豊洲フォレシア12階
設立:1983年3月
URL: https://www.scskserviceware.co.jp

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