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本質を捉えるために自問自答する、台湾から日本へきた「常に考える人」のチャンスの掴み方【MY CAREER STORY】

「誰もが使える世界規模のAIプラットフォーム」の実現を目指すAI inside。導入後の顧客がAI inside のサービスを活用して、望ましい効果を出せるように伴走する「カスタマーサクセス」において、社内でも一目置かれているのが台湾出身のジャン プーです。

「常に自問自答し、自分とディベートすること」を公私ともに大切にしているといいます。自分としての考えを強く持ち、進み続けるプー。来歴を振り返りながら、日々の仕事に臨む姿勢やチャンスの掴み方についても聞かせてくれました。

江 樸(Jiang Pu/ジャン プー)
Leader of Customer Onboarding Unit
 
台湾台北出身。国立台湾海洋大学マリンエンジニア学科卒業。「海外で働きたい」という想いから、音楽フェス「SUMMER SONIC」に参戦したり、長崎大学に短期留学したりした影響もあり、2017年の春に来日。舶用製品メーカー、プライベートジェット運航支援会社を経て、AI inside に入社。カスタマーサクセスとして導入直後のオンボーディングを担当する他、海外顧客の対応も行う。多趣味だが、一番長く続けているのはバレーボール。

※内容や肩書・所属は記事公開当時のものです

専門知識を持っていないからこそ、いろんな挑戦ができる

──大学卒業後に来日されていますが、きっかけは?

日本に来た理由は、いくつかありました。もともとはメタルミュージックが好きで2013年に開催された音楽フェスに参加した時、日本に留学していたバンド仲間がホテルのチェックインやチケットの購入などを、ペラペラの日本語でこなしていくのがカッコよくて、僕も軽い気持ちで日本語を勉強し始めたんです(笑)。

20歳のときに長崎大学へ短期留学をして、住み心地がよかったのを覚えています。台湾の大学ではマリンエンジニア学科で「船舶機関士」になるために技術を学んでいました。就職を考える段階では、海外で働く人が周りにいなかったので、むしろ「やってみようかな」と、また軽い気持ちが湧いたんです。欧米や韓国など何カ国か検討した中で、渡航経験もあり住み心地のよかった日本が浮かびました。

──いきなりの海外就職。ホームシックなど、苦労したのではないですか。

そうですね。でも、うまくいかないことがあっても、言語や国家の問題ではなくて自分の問題だと捉えていました。日本でうまくいかなければ、きっと台湾でもうまくいかないだろうな、と……。「まずは日本で何とか身を立てたい」という気持ちになっていました。

最初に勤めたのは舶用製品メーカーです。工場で金属を加工したり、製造ラインの管理をしたり。この仕事を選んだのは、大学の専攻と最も関係の深い業界に入った方が、ある程度の知識を持っているから、日本語もまだまだ話せないなかでも働けるんじゃないかと思ったからです。

その後転職して、2社目はプライベートジェットの運行支援会社を選びました。航行にあたって駐機場の予約、燃料の補充、機体や客室の点検清掃など、さまざまなサポート業務を引き受ける仕事です。必要なのは専門知識よりも、様々な国籍の顧客とコミュニケーションできることだったので、ここなら日本語、英語の勉強もできて、中国語も強みになるはずだ、と決めました。

──とはいえ、大学から1社目は海に関することで、今度は空と真逆です。専門知識がないことで心配にはなりませんでしたか?

専門知識を持っていないからこそ、いろんな挑戦ができると思うんです。当時、僕には「やりたいこと」がはっきりとあったわけでもないし、まだ想像がついていなかったんです。それならば、「やってみよう」という決断ができる。

実際に、世界の頂点に立つような方々とコミュニケーションを取る環境は、刺激に満ちていましたし、とても魅力的な仕事でしたね。

アナログな職場をITツールで改善、その経験が次のステップに

──2社目の航空支援会社で、印象に残っている仕事はありますか?

人手不足かつ残業の多い同僚たちを救うためにITツールで業務改善を始めたことは、その後のキャリアにつながる経験になりました。

当時、運行状況は全て紙資料とファイルで管理されていました。飛行機の航行予定は一つひとつ鉛筆で書き入れ、変更になった場合は消しゴムを入れて修正する。僕がいた会社は空港ごとにオフィスが置かれていて、各空港にそれぞれファイルがありましたから、羽田空港オフィスにいた僕からすると、別の空港の運行管理は見ることができませんでした。

そうなると、手が空いている空港と、猫の手も借りたい空港と差が出てきてしまうんです。まずはこのファイル管理を電子化できれば、羽田空港オフィスが手隙なときに他の空港を手伝えると考えました。

まずは業務課題の整理から始めて、その課題をいかに解決できるのか、そのためにどのツールを使うか……ネット検索やYouTubeの動画で勉強したり、本社のIT部門の人に相談したりしながら、導入していきました。

僕の提案が通るまでにスムーズにいかないこともありましたが、結果的には、導入後に新型コロナウイルス感染症が蔓延して、電子化が進んでいたことですぐに在宅勤務に切り替えられたんです。

「自分がしたことは間違っていなかったんだ」と確信しましたし、自社に限らず様々な会社がITの技術やツールを活用できれば、みんながもっと楽になれるのではないかと思いました。そこから、IT業界への転職を検討し始めました。

──なるほど、ITツールの有効性を身を以て実感したと。ただ、仕事としての魅力を感じていたのであれば、転職は大きな決断だったのでは?

給与や勤務時間、今後のキャリアも総合的に考えて、やはり「転職すべき」と判断しました。転職理由は複数ありますが、やはり新型コロナウイルス感染症の拡大が大きなきっかけのひとつでした。緊急事態宣言の発令などで航空業界が大きな打撃を受け、回復するまで時間を要することも目に見えていました。

次の職場を探すなかで、初めて「カスタマーサクセス」というポジションを知りました。エンジニアのレベルまで専門知識がない状態であっても、カスタマーサクセスであればIT業界に携われるかもしれない。そう考えて調べるうちに出会ったのがAI inside でした。

──AI inside の第一印象など、ぜひ聞かせてください。

まずは、社名の“AI inside”がシンプルでカッコいいと感じました。

会社の情報を色々調べてみると、事業や社員がイキイキしているイメージがありました。プレスリリースが発表される頻度も多く、社員のTwitterを読んでも会社愛を抱いているようでした。スピード感があり、いろいろ挑戦できそうだと思えましたね。面接で出会った方全員からもAI inside への愛と情熱を感じ取れたので、「この人たちと働けたら楽しいのでは」と思いました。

「現場で使える」ソリューションを自ら作れるような世界に

──入社してからはどういった仕事を担当してきましたか?
入社以来、Customer Onboarding Unitで顧客のオンボーディングを担当しています。今は「Learning Center」と「DX Suite」両方のオンボーディングを担当しています。

「DX Suite」では、契約の前段階で自社製品を知ってもらうために1ヶ月間のトライアルを設けていますが、この期間でサービスの価値を知っていただくために、お客様とコミュニケーションしています。国内外のお客様も対応するので、英語や中国語のスキルも活かせます。

──「Learning Center」のオンボーディングも精力的に行われていると聞きました。プーさんから見て、「Learning Center」の魅力とは?

「Learning Center」も同様で、Pythonを書かなくてもクリックしていくだけでAIを用いたツールが作れることが、一番の魅力だと感じます。

ノーコードでAIツールが作れると、現場で仕事をする方々が本当に欲しいと思える、まさに「現場で使える」ソリューションを自ら作れるような世界になってくる。そうなれば、新しいアイデアがさらに生まれてくるでしょう。僕が前職で経験したような改善が、いろんなところで実施できるようになれば、きっとみんなの生活も変わると思うんです。

──限られた期間で価値を知っていただくために、気をつけていること、自分なりに守っていることは何ですか?

「契約してくれるかどうか」よりも、「お客様のニーズに合った製品であるかどうか」を伝えられることが大事だと考えています。「DX Suite」でいうと、お客様の職場に紙の書類がそれほどないようだとコスパが合いません。利用シーンやニーズをわかったうえで、費用対効果の面から「使わない」という提案をすることもあります。導入の前段階でお客様のニーズを把握し、必要だからこそ契約してもらう。こういう考えは忘れずにいたいですね。

本質へ、常に単刀直入に

──プーさんは社内からの信頼も厚いと聞いています。プーさん流の「仕事をうまく進めるコツ」があったら、ぜひ共有してください。

スキルセットとマインドセットで、それぞれ大事にしていることがあります。

スキルセットとしては、まずは製品を知ること。例えば、社内で誰かから製品に関する質問が上がってきた時には、率先してすぐに答えるようにしています。もし答えられないようであれば勉強しておく。こういった学習を1年間近く続けると、たいていのことは回答できるようになります。

即時で答えられるようになると、お互いが助け合うことで相手の作業が止まることがなく、チームの動きが速くなり、仕事もそれだけ進みますから、全体として効率もよくなります。

もう一つのマインドセットとしては、常に物事の本質を捉えることです。目先の契約にとらわれずに「お客様は何を求めているのか?作業をもっとラクにしたいのか、それとも別の目的があるのか?」など、本質を捉えるように努めています。

そのためには、お客様のKPIに注目するべき。お客様の部署が持つミッションやKPIを把握した上で臨めば、より良い提案もできるでしょうから。

──お客様にとっての本質やKPIを理解するために、どのように距離を詰めていますか?

単刀直入に聞くことです。お互いの時間を無駄にしたくないですからね。ときには、僕が外国人であることもうまく利用します(笑)。日本人らしいセールストークの仕方もあるとは思うのですが、僕にはそういった会話は難しいので、その分だけシンプルに聞いてしまうのです。ただ、「お客様の課題を解決したい」という目標は同じです。

うまくいっていないからこそ価値がある

──AI inside で仕事を続けてみて、どういった人がこの会社には向いていて、一緒にはたらきたいと思いますか?

物事に「自分らしい考え」を持っている人が向いているのではないでしょうか。AI inside は上場企業ではありますが、ベンチャーらしさも残っていて、誰かの指示を待つよりも「自分で考え、自分で動く」必要がありますし、経験したことのない領域に挑戦することも多いです。そういった環境では、「自分らしい考え」を持てるかどうか、が重要だと思います。

「僕としては、こうすべきだと思う」といった考えを表明できれば、お互いにディスカッションが可能になり、新しいアイデアが生まれる。そして、進むべき方向性がどんどん見えてくるようになります。だから、その起点となる「自分らしい考え」が大切です。

それと、行動力も欠かせません。もちろん、全員が全員、行動しなければいけないわけではないのですが……ただ、やはり組織の中で自ら考え、動ける人を増やしたほうが会社にとってはプラスなのだと思います。

──「自分らしい考え」を持つ力を衰えさせないために、習慣としていることなどはありますか?

常に自問自答し、自分とディベートすることです。僕は昔から、もう無意識的に続けてしまっていますね。

たとえば、「なぜ残業しなければいけないのか?」と思ったときは、理由が人員不足にあるとなれば、それを改善するためには何をすればいいのかを考える……といったように、問い詰めていくほどに「自分は何をやるべきなのか」が見えてきます。それを繰り返すことで「自分らしい考え」も固まってきます。

物事の本質を考えるためにも、こういった思考法は有効です。「自分が今どこに居て、何をしていて、次のアクションは何なのか」を把握することが大事です。仕事に限らず、キャリア設計などでも同様だと思っています。

──AI inside でこれからやってみたいことは?

「Learning Center」をもっと広めていきたいです。魅力はありながら、まだまだ展開途中の製品ですが、僕は「苦労している部分もあるからこそ価値がある」と思っています。

例えば、すでに導入実績が豊富にあって「うまくいっている商材」の営業をして売れたとしても、製品に魅力があるからなのか、自分のセールススキルがあるからなのかがわかりにくくなります。でも、事業立ち上げ段階から「Learning Center」を世に広めることができれば、それは自分に能力があることの証しになるのだと考えます。

バレーボールでいうと、飛んできたサーブのレシーブが乱れ、トスも乱れたけれど、しっかりとスパイクを決められた。それは、スパイカーに能力があったからです。もし、レシーブもトスも完璧で「あとは打つだけ」となれば、誰の能力による得点なのかは判断しにくいですよね。だから、うまくいっていないときほど、チャンスなんです。

(文・写真/長谷川賢人)
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