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日本の未来を信じて、今日もAIの伝道者は「DX実現のための本質」を語り続ける【MY CAREER STORY】

「誰もが使える世界規模のAIプラットフォーム」の実現を目指すAI inside。2022年5月にはAI関連事業を手掛ける株式会社aiforce solutionsを吸収合併しました。AIが提供できる価値領域を広げ、AIプラットフォームの提供を加速させるための決断でした。

そして、aiforce solutionsの経営陣もAI inside へジョイン。コンサルティングセールスやDXコンサルタントを手掛けるユニットでVPを務める髙橋蔵人もその一人です。「AI inside とは達成したい“To-Be”が同じだった」と当時を振り返ります。

東北大学でAI教育者として教鞭をとり、産学連携もリードする髙橋は、いかにAIの重要性と可能性に気づき、広げていきたいと考えているのでしょうか。

髙橋蔵人(Kurando Takahashi)
Director of Professional Service Division、Principal of InsideX
外資系コンサルティング会社にて、内部統制や全社的リスク管理体制の構築・評価支援、マネーロンダリング管理体制構築支援、企業不正リスク評価などのコンサルティング業務に携わる。金融機関、ヘルスケア企業、総合商社等、多様な業種の業務・財務プロセスの内部監査にも従事。その後、70年続く伝統企業の取締役 経営企画事業部長として、戦略策定と実行に従事し、aiforce solutionsの立ち上げに参画。AI inside がaiforce solutionsを吸収合併したことを機に、2022年5月より現職。他にも、AI教育者として東北大学特任准教授も務めている。

※内容や肩書・所属は記事公開当時のものです

コンサルはファーストキャリアとしてよかった

──今日は仙台から東京までいらしてくださったのですか。

はい、基本の拠点は仙台ですが、AI inside には「LIFT!」という働き方と福利厚生のオプションがさまざまあって、最適なワークスタイルを選べる仕組みの「Work From Anywhere」もあります。それを実践している一人とはいえるでしょうね。

──元から仙台育ちですか?どういった学生生活を過ごしてきましたか。

生まれが仙台で、高校で1年間アメリカへ行き、大学もアメリカのテキサス州にあるところを出ています。とはいえ、「将来的に世界で仕事がしたい」なんて想いはまったくなく、たまたま奨学金をもらいながら留学できる機会に挑戦できたというくらいで。

一度は異文化を体験して、なおかつ英語もわかりましたから、海外へ出た方がその後のキャリアも広がるとは思っていました。「英語がわかる」という標準スキルがあるだけで、巡ってくるチャンスも得られる情報も全然違います。特にテクノロジー分野は最新情報は全て英語化されているので、直接それを仕入れられるという意味でも大切ですよね。

──大学では何を学び、ファーストキャリアはどういった道に進まれたのでしょう?

ファイナンスです。金融についても日本語訳されたもので学習するではなく、英語で学ぶと直接的に「わかる」感覚が強かったのを覚えています。

就職では、学んでいたこともあって金融系志望でしたが縁がなくて。結果的にはコンサルティング企業を選びましたが、進んで入りたかったわけでは全くなくて(笑)。アメリカでは留学生を対象に「3日間で採用を決める」というコンサルティング業界のキャリアフェアが開かれていて、そこでリスク管理に強みを持つ企業に受かったからです。

──「やりたいこと」より「やれること」で決まった第一歩だったと。

ただ、今考えると良いファーストキャリアでしたね。現在も同じかは定かではありませんが、私の頃は「新卒」という挨拶も概念もなかったんです。コンサルティングは「時間当たり」で請求する職種であり、その場所に連れて来られている限り、一人のコンサルタントとして価値を出さないとなりません。それを1年目から意識させられたことは、その後にもつながる大きな学びだったと思います。

あとは、会議のファシリテーション、フロー図や議事録の書き方など、コンサルタントとしての標準スキルを整えられたのも良かったです。ほんとうに、議事録なんて死ぬほど書いていましたし、大量に朱入れされていましたからね。

進んだ業種もプラスでした。リスク管理や内部監査の領域は日本だとパッとしない印象ですが、海外だと確かなキャリアパスの一つとして認識されています。内部監査の仕事の一つは、経営目標を達成するための課題がどこにあるのかを洗い出すことにあります。その目線で部門を横断してチェックし、リスク低減のコントロールをしていく。特定の領域を深く知るのではなく、「広く見る」という経験が積めたのは面白かったです。

ただ、本当に丸2日寝なかったり、朝方に上司から着電があったりと、かなりのハードワーク。もともとコンサル志望でもありませんでしたから、自分が本心から好きではないことも上司には見破られてはいたのでしょう。このまま30歳、40歳と価値提供し続けられるとも思えず、ちょうど家業を継ぐか否かの問題も起き、3年半で辞めて帰国しました。

AIだけが「全くわからない」テクノロジーだった

──帰国後は何をされていたのですか。

仙台に本社がある、公園や学校施設向けの遊具などを設計から修繕まで手掛ける家業の中小企業で働いてました。帰国後はコンサル上がりということもあって、「もっと会議を!」「Salesforceを導入しましょう!」なんて息巻いていたんですが、社員は私が社長の息子だから付き合ってくれている状態。

それで2年半ほど過ぎて、こういう中小企業において管理系の業務に時間を費やす意味はなく、まずは「売りを作ってなんぼだ」と気づいたんです。そこから営業に注力して、社内の誰よりも売上が出るようになって、初めて社内の様子が変わりました。みんな売れる人の言うことなら聞いてくれるんですよね。率先してすべきことを間違えてはいけないな、と。

そして家業を続けながら、2018年にAIデータ分析自動化ツールを提供するaiforce solutionsの立ち上げに参画することになったんです。

──遊具からAIは、かなり飛躍があるように思いますが、どういった経緯ですか。

デジタル関連の新規事業なども手掛けるなかで、世の中に出回るテクノロジーのシステム構造などは、どれもある程度は理解できたんです。ただ、AIだけが全くわからないし、解釈もできない。AIは、それこそ私たちが幼い頃から「世界を変えるはずのテクノロジー」として描かれ、遥か遠くにあった存在のはずが、ビジネスの現場という近いところまでやって来ていたわけです。当時はIBMのWatsonなどが話題になっていた頃でしたからね。

「どうにかしてAIを正しく理解しなければいけない」と思うなかで、2017年に前職関連のアルムナイが開かれ、そこで後にaiforce solutionsを創業する西川智章と出逢いました。西川はすでにAIを事業として手掛けていたのですが、そこで彼が言ったことに衝撃を受けて。

日本はこのままだと衰退する。それをどうにかするには生産性を上げないといけない。既存のAIプロジェクトの8割は簡単にできるものなのに、今は成果が上がるかわからないようなPoCばかりやっている。このままだと生産性なんて上がらない。だから、それが簡単にできるソフトウェアを作ろうと思っているんだ」……といったことを話してくれました。

──AI inside の事業と接点にもなる呼びかけに感じますね。

そこで、私と西川ともう一人で、AIの勉強会を始めることになりました。勉強会を続けるうちに、いよいよ創業することになって参画したんです。数値データをもとにAIが分析し、自動で予測ができるノーコード型のプロダクト「AMATERAS RAY」を提供し、資金調達もしながら成長していきました。

──そこからAI inside にジョインする選択をされました。

私たちの「AMATERAS RAY」は数値データをもとにしており、AI inside の同様のツールであった「Learning Center」は画像データをもとにしています。しかも私たちがミッションに掲げていたのは「AIの民主化」であり、AI inside とは“To-Be”が一緒だったんですよね。

達成したいことが同じで、進むコースが違うだけならば、一緒に取り組めばもっと時間を早く巻けるはずだと考え、合弁の打診を受けることに決めました。それぞれで施策を打つよりも同時並行的に面で当たっていけますし、その数もより増える。今後も共に進むメリットは大きくなっていくと思っています。

AIリテラシーなくしてDXは果たせない

──現在はどういった業務に当たられていますか?

主な業務は2つです。一つは、お客様の課題に我々のAIツールを活用したソリューションを提供するコンサルティングセールス。もう一つは、AIコンサルタントとしてお客様の企業に入り込んで行うプロジェクトマネジメントです。後者はAIへの理解を持ちながらプロジェクト全体の成功を導くために、私たちがお客様の窓口や参謀としても機能する形ですね。

後者のコンサルタント業務には、AIに関する啓蒙活動や教育も含まれてきます。組織のAIリテラシーを向上させて、DX人材を育む「AI Growth Program」の提供も一つですね。教育プログラムの必要性は、お客様が達成したい姿のための手段として、ちゃんとAIを捉えられるリテラシーがないと、課題の解決策や将来像なんて描けないからです。

たとえば、企業内でDXという旗印のもとで、RPAやチャットボットなどに取り組んできた。それぞれに提供者がいて、コンサルタントだっています。ただ、それを個別最適化するだけではDXは実現されず、多くはデジタル化の域を出ません。何より本当にたどり着きたい将来像に対する変革が起きない、つまりはトランスフォーメーションもできないと。

──それはAIリテラシーが欠けているのも一因ということですか。

いくらRPAが動いていても、実際に働く人の業務が効率化されていない、といったケースは多いもの。そして、それらのデジタル化を推進する本質は、属人的な業務のデータ化と、そのデータ活用による業務効率化や改善のはずです。そこで価値を発揮するのがAIなのに、それへの理解がなければ、未来像を描けないも同様ではないですか。つまり、DXは本質的にAIを組み合わせない限りは達成できず、真に業務なんて変えられないんです。

こういったことを正しく伝えていき、その重要性に気づいた企業や個人は、確かに変わっていっています。私が担当するなかでも、目に見えて変革が進んでいる企業もありますが、まだまだ全体としては啓蒙が足りていません。

持続可能な未来社会を目指すための大学連携

──その「伝える」活動の一つに東北大学との関わりもあるのですか?

そうですね。私は専門的なデータ分析であったり、実際にPythonを叩いてコードを組んだりするようなことはできませんが、「わからなかったAIが論理的にわかるようになった」という立場です。だからこそ文系向けの学生に教えられることもあるのだと考えています。AIが万能ではないこと、いかに作られているか、機械学習とは何か……。

通常、大学でAIを教えるのは工学部などの理系の教授陣です。彼らは数式を含めて確かに「正しく」伝えようとしますが、それらは時に難しく、文系の学生には必ずしも「正しく」はなくなってしまう。そうすると、AIに対する解釈のズレが生まれます。「AIとは何か」を問われたときに頭に思い浮かべるものが、個々に違う。そんなふうに解釈の違うものをビジネスの現場で使おうとしても無理なんです。まずはAIに対する理解を目線を合わせないと

──どういったように伝えていますか。一つ、ぜひ教えてください。

AIにできるのは、これまで人間がやっていたことを、「あなた」でなくても計算式を用いて、同じ結果が導き出せることです。たとえば、需要予測や業務判断といった属人的な部分が置き換えやすくなる。それによって、AIの判断結果をもとに、今後のビジネスモデルを考えるなどの「本当に人間がしなければいけないこと」に向き合える。それがAIの現在における限界点だと考えています。

AIに業務をデータ化して学習させていけば、仮にその業務を担っていた社員が辞めることになっても、企業にはノウハウがちゃんと残る。それもAIの本質の一つです。実はシンプルなこれらのことさえ正しく伝わっていないというのが、AI市場の課題ですね。

──他にも東北大学で取り組まれていることはあるのでしょうか?

AI inside は、持続可能な未来社会を目指す「Smart X」構想を実現させようとしています。ただ、いち民間企業だけではその実現は遅い。そして、東北大学は「世界に伍する大学」として、ロボット、月面、宇宙産業、農林水産、エネルギー、医療などの分野における知見を有しています。それらの知見と、私達が持つテクノロジーを掛け合わせていくために、連携協定を締結しました

肩書きを外し、社会へいかなる価値を提供できるのか

──今、忙しい日々を過ごす髙橋さんのモチベーションの源は、どこにあるのですか?

「日本を何とかしたい」が原動力の根本にありますね。アメリカにいたから客観視もできるのですが、私は心から「これほど良い国はない」と思っているんです。ただ、世界規模の時価総額を受けている企業がほぼない現実を捉えれば、将来の方向性は考えなくてはなりません。再び世界を目指すのか、あるいは異なる方向を切り開くのか。

私は、データとAIを正しく使えれば、日本が強い製造業はもちろん、ヘルスケアの領域から社会的な課題に先駆的に取り組むことまで、競争優位性のある事業でもって、再び世界を目指せる価値をつくる余力があると考えています。現実的なコストやソリューションも含めて、AIは最適な現実解であり、活用に正しいリテラシーと教育は欠かせません。この点が日々の活動とも結びついていますから、モチベーションが高く臨めているのだと思います。

──起業家、事業家、そして教育者としても、AIに関する可能性への信念と期待を感じました。チームメンバーも募集中ですが、未来の仲間に向けてメッセージをください。

私も4年くらい前まで、一般的なスキルは持っている「普通の人」でした。それがAIへの理解を得たことで起業や大学連携などの機会を得たんです。その経験から2点、言えることがあります。一つは「詳しい人から正しく学ぶこと」の大切さ。もう一つは「学ぶ数をこなすこと」です。私も起業後の3年間はスタートアップの一員として、ひたすら顧客のデータを見て、ソフトウェアを用いてコンサルティングなどに励んできました。

将来的に何かしらの起業や転身を志す上でも、データとAIはいずれ正しく学ばなければいけないスキルの一つです。AI inside には、それらを満たすだけの環境があり、経験を提供する土壌があり、それらは会社の特徴にもなっていると思います。今、日本でこれだけ言い切れる会社がどれだけあるだろうか、とも感じます。

──入社後はどういったステップで、その学びを得ていく想定でしょうか?

私のユニットに属するDXコンサルタントやコンサルティングセールスの場合は、まずは先輩コンサルタントと共に、一つのプロジェクトを回してもらいます。先輩の姿からノウハウを得てもらいながら、独り立ちできるようにジョブトレーニングを進めていきます。

実際に、大手総合商社の4年目情シス社員を出向で受け入れていたのですが、彼はITリテラシーはある程度あってもAIはわからない状態。それがたった1年間で、AI研修プログラムを提供したり、お客様の課題にデータとAIによるソリューションを提案できたりするようになりました。もう一人、元大手コンサルからの転職者も、AIは未経験ながら一緒に取り組むことで、今では一人前の人材として育ってくれました。

私自身も、お客様のもとでお話を伺うと、次から次へとシーズが出てくる面白さを感じています。「まだ何もやりきっていない」と実感しますし、毎日のように新しいビジネスのネタが発見できて、その実現を手伝えていることもモチベーションにつながっています。

──DXコンサルタントとして関われるだけでなく、日本の未来を変えるかもしれないという大きな目標にも向かえる。さらに、産学連携を含めて医療など人類全体の課題にもタッチできるというのは稀有な仕事に感じます。

確かにDXコンサルタントという肩書きは付くかもしれませんが、やはり大切なのは肩書きを外して、自分が社会に対してどういった価値を提供できるのか、という観点で捉えることです。その実現の手段としてAI inside が浮かべば、共に“As-Is”から“To-Be”へ向かえるのでしょう。

(文・写真/長谷川賢人)
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